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歯科矯正相談室からの回答:歯を動かす方法

なかなかむずかしいご質問で, 歯科矯正専門医の方がむしろその回答を知りたいというのが本当のところですが, 一言で申し上げれば, 残念ながら歯を早く動かす秘策は今のところない, というのが実状です.
 
 矯正治療中の歯の動く早さ(動きやすさ)にはかなり個人差がありますが, 加えて年齢, 歯周組織の状態, 不正咬合の状態, 使う装置, 矯正術式(テクニック)などによって歯の動きにかなり違いがあります.
 ここでまず簡単に, 歯の動く仕組みについてお話しますと, 歯牙移動の生力学的メカニズムは, 歯に力が加わることによって, 歯(歯根)とその周りを囲む骨(歯槽骨)との間にある歯根膜という線維組織に, 破骨細胞と骨芽細胞(造骨細胞)が出現し, 歯槽骨という骨に, 動く側には吸収作用が, 反対側には造骨(骨形成)作用が起きて歯が動く. つまり, 歯牙移動とは, 歯槽骨という骨の歯槽窩(しそうか:歯が植立している穴)が移動することによって, その中の歯の位置が変わる(つまり歯が動く)というのが歯牙移動のメカニズムです.

 このように, 矯正的歯牙移動を病理学的観点から見ると, 歯根膜, 歯槽骨の性状と細胞の活性(元気度)が歯の動きの良し悪しに大きく関与しているといえます.
 細胞の活性は成人に比べて子供の方がずっと高いですから, 年齢が若いほど矯正力に対する歯槽骨の吸収形成がスム−ズに行われる, つまり歯はよりよく動くということが一般的にいえます.

 歯が順調に動くには歯周組織(歯肉, 歯槽骨, 歯根膜, 歯根:セメント質)の健康は第一条件ですので, 普段からバランスの良い食生活, 歯の刷掃, 歯肉のマッサ−ジ, そして良く噛むことを心掛けることは大切なことです. それだけで歯が早く動くわけではありませんが, 不健康な歯周組織は歯の動きを鈍らせます.

 先に述べましたように, 歯牙移動は単純な「物理的な物の移動」とは異なりますので, いたずらに矯正力を強くしたり, 通院間隔を短くして早め早めに調節しても歯は早く動きません. それどころか好ましくない組織変化が起きて, 返って歯が動かなくなったり, 歯根の吸収という不測の事態を招くことにもなります.

 歯をより早く動かしたいという気持ちは歯科矯正専門医も同じですが, 画期的な方法は残念ながらまだありません.
 少なくとも治療が遅れたり長引いたりしないよう, 歯科矯正担当医の指示をよく守り, 診療の約束の日を忘れずに, そして日々お口の手入れを怠らないよう心掛けてください.歯科矯正治療期間は長いようでも人生の中で見れば短い期間です.


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