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歯科矯正相談室からの回答1:抜歯による歯科矯正治療を勧められた

「歯並びが悪くなる原因を改善するのが歯科矯正治療」

 ここからは歯科矯正治療における抜歯についての説明です.
  八重歯は, 犬歯という歯が外にはみ出た状態を表す通称ですが, この犬歯という歯はいわゆる牙ですから, 動物である人間にとっても重要な役割を担う大切な歯であることに変わりはなく, 咬合という観点から, 第一大臼歯(6歳臼歯)と共にその存在と位置のあり方は極めて重要, と歯科医学の中では認識が確立しています.

 つまり, 上下それぞれの顎の中で, 左右の犬歯, 左右の第一大臼歯が家の四本柱のように本来あるべき位置にあること, そして, 上下の犬歯同士, 6歳臼歯同士が正しく咬み合うことが咬合機能上大切なことで, これが歯科矯正治療の目的であるとさえいえます. (お子様の右下犬歯が先欠しているのは仕方ありません. )
 八重歯は, そのほとんどが歯の大きさとそれを収容する器である顎の大きさとの不調和(discrepancy ディスクレパンシィ), 簡単にいえば歯が大き過ぎるとか, 顎が小さ過ぎることによって起こります. 八重歯が上顎によく見られるのは, 上顎では犬歯の生える順番が最後であるため, しわ寄せが犬歯に来て外にはみ出すためです.

 歯の大きさは, 前歯が大きければ奥歯も, 上の歯が大きければ下の歯も大きくなりますので, 通常, 八重歯の人は(素人目には分かりにくくても)下の歯並びもどこかがデコボコになっています. お嬢様の場合は, たまたま右下犬歯が先欠のためデコボコにならず, その分だけ正中は右にズレます.

 八重歯の典型的な治療方針は, 理屈の上からいえば1本1本の歯を小さくするとか, 顎を広げて大きくするということが考えられますが, “現実的にはできないこと”ですので,歯の数を減らして(抜歯), 顎の大きさに合った歯の数にする方法がとられます. 八重歯のケースに抜歯が必要なのはこの理由からです.

つまり, 歯科矯正治療での抜歯は治療上の手段であって, 歯を抜かない(非抜歯)ことが目的であってはまともな医療とはいえません.

 人間の身体は左右対称, 歯列(放物線状の歯のならび)も左右対称(歯の数が左右対称)であり, 大きさも形も異なりますが上下の歯の数は同じです. つまり, 対称性を保つためにも基本的に抜歯は上下左右, 同じ場所の歯を抜かなければ, 歯列が歪になって正しい咬合関係が作れません. これが歯を4本抜く理由です. お子様の場合の上2本, 下1本抜歯は, 右下犬歯の先欠を入れて計4本となります.

 患者さんの“抜かないことはいいことだ”という, 信仰に近いような考えを説得するのはどの歯科矯正医も苦労するところです. 誰でも「歯を抜いて治しますか, 抜かない(非抜歯)で治しますか」と尋ねられれば, 「抜かないで治して」と言うのが人情でしょう.

 抜歯をできるだけ避けたいと考えるのは, 患者さんだけでなく歯科矯正医も同じです. しかし, 日本人の不正咬合においては, 非抜歯で治療できるケ−スはかなり限られているのが現実です.

 歯科矯正治療上の抜歯は, 治療に必要な隙間を作るためであり, その隙間は治療後に閉じてしまうものですから, いわゆる「抜歯イコール入れ歯」の抜歯とは意味がまったく違います. 確かに歯の総数は減りますが, それによってより好ましい咬み合わせや顔貌(口元)を得るわけですから“足りなくなる”と考えるべきことではありません.


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